ウツ(鬱)

ウツってこんな病気 Part 09


2009年1月31日
Q. ウツの家族が少し良くなってきた様なのですが、気をつけることはありますか。
A. 落ち着いてください。治療を始めてどのくらいたっているか思い返しながら今後のことを考えていきましょう。

 ウツは初期と中盤と後期とで気をつけるべきことが変わってきます。

・初期

 私の経験では、初期はウツの人は比較的自分を責めていることが多いです。
自分を責めるのをやめるような助言をしてあげてください。

 また、規則正しい生活、夜良く寝ることが大事です。
助言は、「今までがんばりすぎちゃったね、がんばりすぎちゃったんだから休まなきゃ」といったことを言って上げましょう。

 規則正しい生活は、夕食は6時ごろ、夜7時遅くとも8時には寝て朝10時には起きる、朝食・昼食は少しでもいいから食べる。昼寝は30分程度で一回だけにして夜良く寝るようにする。朝は晴れていたら日光を浴びる。といった感じが良いと思います。でも、無理は禁物です。少しずつ生活のリズムを作っていけばよいのです。

 散歩を習慣にするのも良いかもしれません。最低限体を動かさないと体力が落ちてしまいます。

 初期に最も気をつけるべきことは、抗うつ剤が効き始めたときです。一時的にとっても元気になったような気がしますが、無理をするとすぐに落ち込みます。
これは、薬を服用してから2週間目以降に周期的に起きます。

 私の場合、この初期状態はウツの治療が始まってから半年以上一年近くの長い期間ありました。感情の起伏に波が大きく、体調も頻繁に変わります。

 本人も状況を正確に理解していない期間のため、一喜一憂しますし、短期間で治そうと思っている時期です。

 とりあえず、本人に話を合わせてあげたほうがいいかもしれませんが、喜びすぎない・喜ばせないでください。

・中盤

 たぶん、今の私の状態です。

 自分の状態を客観的に見れるようになってきます。(この状態を経験せずに治ってしまうと再発の危険性は高まると思います。)

 ウツとのんびり付き合う覚悟ができてきて、小さな周期的な状態の変化が少なくなりますが、大きな周期で調子の悪い時期と良い時期を繰り返します。(気候などの影響も大きくなります。)

 この時期の注意点は、生活のリズムを少しずつ元に戻すことです。休職中であれば家事を分担させるなどストレスの少ない仕事で少しずつ負荷をかけてあげましょう。

 リハビリのための準備期間だと思ってください。
 ただ、義務感を強く持たせることは避けなければいけません。この時期は、強い義務感は病状を悪化させる危険性があります。

 食欲が出てきたら、食べ過ぎに注意です。今まで食欲が無かった分満腹中枢がおかしくなっているような変な感覚になることがあります。運動をさせることも忘れてはいけません。私は食欲が戻ってきたタイミングで食べすぎとそれまでの運動不足で太りました。

 また、ストレスを強く意識する時期でもあります。
 今まで無意識でやっていたようなことをストレスから「あぁ、脳みそってこんな風に考えて色々理解しているんだぁ」と思うほど何をやるにもストレスを感じます。
 たとえば、人の顔を見て誰だか思い出すために、脳みそがどういう順番で人を認識していくのかが「ストレス」という形で手に取るように判ったりするのです。

 本人には、「がんばって無理しないようにしなさい。」とか「辛かったらできるだけ早く逃げるんだよ。会社に休憩室とかある?トイレでも良いよ!」とかいってあげましょう。

 職場に復帰するのは多くの場合、この段階です。
 でも、喜ばないでください。最初は月曜日に休んだりといったことが起きても不思議ではありません。

 また、通常、この期間は比較的長いと覚悟してください。一年半は覚悟してください。

・後期

 私は経験していませんが、この時期になると薬は減る一方になるはずです。(それまではどちらかといえば増える傾向にあります。)

 リハビリが本格的に始まり、残業もそれなりにできるようになります。

 この期間は最低半年はあります。
 お医者さんが「基本的には治った」と判断し、薬を抜き始めたら後期の始まりです。

 私には経験が無いのでなんともいえませんが、この時期はリハビリの時期ですが、中盤の期間が短いと自分の状態を忘れて暴走するそうです。そうなるとあっという間に初期に逆戻りです。
 少なくとも、薬を抜き終わり、お医者さんから「もう来なくて良いですよ、仕事も普通に出来るはずです。」といわれるまでは無理は禁物。リハビリと思って上司と相談しながら残業や業務量を調整していきましょう。

 お医者さんから「普通に仕事ができる」と言われても、一気に仕事を増やすようなことは避けるべきです。
 客観的に自分の状態を見ながら少しずつ仕事を増やすスタンスを持ち続けることが再発を防ぐことになると思います。

質問の回答としては、ぬか喜びではないことを確認する必要があります。
ぬか喜びは本人にも家族にも大きなダメージを与えます。
冷静に!冷静に!

 ウツには大きな波と小さな波があり、私の経験では、大きな波は「春先が一番調子がよく、5月にかなり落ち込み6月に少し上向きますが、8月に向けて少しずつ下がり続けます。秋はあがり続けますが、冬には緩やかに下がり、正月を過ぎてしばらくすると春先に向けて急に調子が良くなります。」

 小さな波は一日の中と週の中で起きます。「午前中は調子が悪く、午後は回復してきます。」「月曜日は調子が悪く、火曜日で少しあがり、水・木で緩やかに下がり、木曜の午後から土曜日にかけて上がり続けます。日曜日の午後から月曜日の午前中にかけて急降下します。」週の変化は週休二日で土日が休みの場合と思ってください。さらに、天気が影響します。晴れは調子がよく、雨の日は最悪になります。曇りの多い地方にはウツが多いとも言われる位、天気はてき面に効果を表します。

参考になれば幸いです。